◆三大紬の一つとして名高い牛首紬ですが、生産数が少ないためご存知でない方も多いようです。でも800年もの歴史がある古い絹織物です。
白山の麓、豪雪地帯の冬の間の女の人の仕事でした。一手間一手間、手間をかけるこの作業は、母親から娘へと代々伝わりました。当然量産はできませんでしたが通好みの着物であったようです。
玉繭(たままゆ)という双子繭から独特の方法で製糸した生糸(きいと)、機織り(はたおり)の打ち込みの強さ、これらが相乗して、生地を丈夫にしています。
釘に生地がひっかかっても生地が破れるのでなく釘の方が抜けてしまったという謂れから別名「釘抜き紬」とも言われていました。その頃は糸を最初に染め、それから布に織り上げる先染めばかりです。
現代の牛首紬は、この先染めもありますが、白生地として多く生産され、京都や加賀(金沢)の染元に納品されます。
当初、牛首紬に後から絵柄を染めるということは、とても大変だったそうです。牛首紬特有の「節」が職人の手を拒みました。試行錯誤が続き多大な努力を重ねこの生地に合う染めを確立していったのです。他の生地には見られない染めの「色の深さ」が彼らを虜にしたのです。
生地も改良に改良を重ね今の滑らかな優しい風合いへと変化していきました。
現在その努力も実り、後染めの牛首紬は、生地特性の鈍く優しい光沢を持ちながら染め特有の風格を兼ね備えた素晴らしい「染めの着物」へと変貌を遂げました。
高度な技を持つ職人は貪欲です。
伝統を守りながらも常に新しい何かに挑戦しようとします。
匠の職人の新しいものへの挑戦、伝統をきっちりふまえながらその時代の息吹を盛り込んでいく。とても素晴しいことです。わくわくする楽しさです。
着る人たちがもっと自由に楽しめる着物をつくる喜びがあります。
本来きものはもっと自由でいいと思います。こうでなければいけないということはないはずです。牛首紬に京友禅、これは新しく楽しい「和」の発見です。
すでに、紬の軽やかな着易さと絹の柔らかな品格を兼ね添えた着物として、きもの通の方々に注目されています。只、商品数が少ない為あまり世の中に出回りません。
もし、一目惚れをしたときは是非「ご自分のきもの」としてキープすることをお奨めいたします。
期待を裏切らない一生の着物としてお役にたつでしょう。
(三代女;きものごころ店長) |